くまのいとくまのたんの違い

共通言語って単語があります。以前に書いた記事で、

「犬って単語を聞いて何をイメージします？」という問いかけを取り上げました。

人によってそれは匂いだったり、画像だったり、手触りだったり、頭に浮かぶものは違います。

浮かんだものが視覚的なイメージだった人と一括りにしても、それは秋田犬だったり、プードルだったり、これもまた違いますよね。


POPを書く時に、人によってキャッチコピーにより呼び起こされるイメージが全く違うということを頭に入れておかないと、とんちんかんなものになっちゃいます。

話は少し変わりますが、今ウチではある胃薬を全店でプッシュしています。


主成分はよくある消化剤。胆汁末です。ブタ由来の。


この胆汁末っていうのは、油の分解を助ける胆汁の分泌を促進するもので、熊の胆嚢を乾燥させたものが熊胆（ユウタン）と呼ばれ、最も高価で取引されているそうな。

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主成分は胆汁酸代謝物のウルソデオキシコール酸 (UDCA) である。UDCAは化学合成が可能であるにもかかわらず、漢方薬として熊胆が未だ珍重されている。

UDCAの他、各種胆汁酸代謝物やコレステロールなどが含まれている。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%86%8A%E8%83%86

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これを踏まえてなんですが各店の展開事例を見るとですね、やたら熊推しなんですよね。


原料ブタなのに。


そこちゃんと説明しないとおかしいことになっちゃうし、そもそも熊だけアピールしても熊胆が何にいいのかわからん。


胆汁末を摂ると、油っぽい食事をした次の日の朝にもたれにくくなるとか、

「30歳超えた辺りから食べたいものと食べても平気なものにずれが生じてきたから、昔みたいに深夜に牛丼とカレー食ってももたれないように戻りたい人」の望みを叶えるようなことをアピールするとか、

もうちょっと分かりやすく、お客さんが叶えたい未来をアピールした方が良いと思う。

消化不良な人は消化できる自分になりたいんだろうし、

21時以降に食事しちゃうと次の朝にもたれやすい人は、深夜に食事してももたれにくい自分になりたいんだろうしね。


一番最初に展開を考えたお店では、熊のイラストをなんで使ってるかの説明をきっちりしていたな。そこは良い。

熊の胆（くまのい）ってのがあって、それと同じ働きの豚胆汁末が入ってるので「あなたがこれを飲んだらおいしそうな油っこいものを食べてももたれにくくなるよー」とね。

そこまできちんと説明すれば、お客さんにその商品の存在理由が伝わる。

でも他店では、その最初の店舗の女の子が書いた熊のイラストが可愛いからといって、そこだけ抜いてコピーして貼っていた。それじゃぁ意味がわからん。


「これ熊の胆が使ってるんだ！熊の胆ってなんだかよくわからないけど胃薬買いたくなってきた！」

「熊カワイー胃薬買おう！」

とはならないと思う。多分。いや絶対。

だって熊の胆＝消化に良いっていう共通言語はお客さんに存在するとは限らないから。っていうか多分無い。そもそも熊の胆（くまのい）って読めるかどうかすら怪しい。俺なら「くまのたん」って読んじゃう。

なんなんだ。

熊野さんにかわいく呼びかけるときの接尾語か。熊野タン。


伝わってると思っていても、実は50％しか理解されていないってことはよくあります。

共通言語を使う時はそこら辺に気をつけましょう。